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健康保険証の代替としてのマイナンバーカードを、一人暮らしの親にこそ勧めたい3つの理由



2021年3月より、「マイナンバーカードが健康保険証の代わりになる」という話が注目されています。

・結婚や転職直後で保険証がなくても保険診療を受けられる
・窓口での限度額を超える医療費の一時払いが不要になる
・自分の特定検診情報や薬剤情報(2021年10月予定)の確認ができる
・医療費控除の手続きが便利になる(2021年所得税確定申告分から)

筆者は、特に一人暮らしの高齢者に、マイナンバーカードを健康保険証代わりに使っていただきたいと考えています。その理由をお伝えします。お金の話からは少しそれるかもしれませんが、ご参考くださいね。
参考記事 マイナンバーカード「健康保険証利用」の受付開始 メリットと申込手順を解説

□マイナンバーの交付状況

総務省の調査(2020年12月1日)によると、マイナンバーカードの交付枚数率は全体でみると23.1%です。1年前から比べてみると8%ほどアップしたのですが、新型コロナウィルス感染拡大を受けた特別定額給付金の申請や、マイナポイントの取得がきっかけなのでしょう。

年齢別の交付枚数率を見てみると、70歳以降の高齢者層の取得が高めであると紹介されています。それでも30%程度にすぎないので、更に上がっていくと良いと思っています。なぜなら、マイナンバーカードを取得し、健康保険証代わりに使ってもらうと、一人暮らしの高齢の親がいらっしゃるお子さんにとって安心な面があるからです。

総務省「マイナンバー制度とマイナンバーカード」マイナンバーカード交付状況について



それでは、一人暮らしの親にこそ勧めたい、3つの理由を見てみましょう。






□一人暮らしの親に使ってもらいたい理由その1~入院費用を子が一時的に立て替える負担が軽くすむから

高齢の方は急に体調が悪化し、入院することもあります。同居していなければ、どこにまとまったお金があるのかわからず、入院費用を、子が一時的に立て替えることもあるかもしれませんね。そこで、マイナンバーカードが役に立つのです。

窓口での限度額を超える医療費の一時払いが不要

健康保険制度には、1か月に多額の医療費がかかっても、自己負担額の上限を超えた分が戻ってくる「高額療養費制度」があります。加入する健康保険制度に申請して「限度額適用認定証」をあらかじめもらっておくと、自己負担限度額の支払いで済みますが、それがないと高額な医療費を一時的に立て替える必要があります。

しかし、マイナンバーカードを保険証代わりに使えば、自己負担限度額を超える分の支払いは初めから免除されます(オンライン資格確認導入後)。70歳で一般的な所得の方が入院した場合ですと、1か月の限度額は57,600円(差額ベッド代や食費など、健康保険適用外の治療費は別途かかります)。「この金額なら、なんとか立て替えられるかも」と、思えるかもしれませんね。



□一人暮らしの親に使ってもらいたい理由その2~医療費控除の手続きが便利になるから

2021年分の確定申告(2022年に手続きする分)からは、医療費控除を受ける際にもメリットがあります。医療費控除の申告では医療機関や薬局でかかった金額を明細に記載する必要があります。

マイナンバーカードがあり、マイナポータルという専用のサイトで手続きをすることにより、必要な情報が記載された申告書を作成することができるようになります。高齢になるほど、病気やケガで治療費が高くなることもあり、もしかすると控除の対象になるかもしれません。少しでも手続きの負担感が軽くなるのはありがたいですね。

なお、取得できる情報は、2021年10月以降のものなので、それまでの領収書類はしっかり保管しておくよう伝えておきましょう。



さて、いよいよ3つ目です。






□一人暮らしの親に使ってもらいたい理由その3・どんな薬が処方されているのかを知ることができるから

2021年10月からは、本人の同意があれば、医療機関や薬局が、薬剤情報の確認をすることができるようになるそうです。

氏名や生年月日などの受信者情報の他に、医薬品名、成分名、用法、用量、調剤数量といった薬剤情報も確認できるようになると聞いています(2021年9月診療分のレセプトから開始。過去3年分の閲覧が可能となる予定)。それが子にとってどんな安心につながるのでしょうか。事例で見てみましょう。

Aさんの場合

Aさんの母親は遠く離れた地域で一人暮らしをしています。以前より持病があり、薬を何種類も飲んでいます。とは言え、友人と遊びに行ったり、サークル活動を精力的にこなしたり、認知症の心配もないことから、Aさんは安心しきっていました。

しかし、転倒による骨折を機に、長期間入院。その頃から記憶障害が発生し、入院前にはできていた薬の服用も、自分一人ではできなくなってしまったのです。

そこで、介護保険「薬剤師訪問サービス」を利用し、処方箋を担当の薬剤師に渡して、「お薬カレンダー」という名で知られている、ビニール製の入れ物に仕訳をしてもらうようになりました。曜日ごと、朝昼晩ごとに薬が分けられているので、その通り飲めば良いだけとなり、Aさんも一安心していました。

私はしっかりしている!と、状況を認めず病院へ

ところが、お母様は、なぜ薬剤師訪問サービスを受けているのか理由が理解できておりません。「認知症でもないのに、なぜ薬を管理してもらわないとならないのか」と、何度もAさんに電話をかけてくることもあったそうです。記憶障害を認めたがらないというのは、よくある話ですが、薬の飲み忘れもあるので、薬剤師訪問サービスは続けてもらうよう、その都度説得していたそうです。

薬の飲み忘れだけではなく、重複して服用することも心配していたAさんは、かかりつけの病院以外で薬をもらってくることがないよう、お母様に話していました。

しかし、風邪を引き、誰にも相談せずに、かかりつけ以外の病院に行ってしまったそうです。お薬手帳を持参せず、かかりつけ医がいることや、薬を管理してもらっていることも、病院には伝えずじまい。そして、新たな薬を処方してもらい、これまでの薬と併せて飲んでしまったそうです。幸い、飲み合わせに問題はありませんでしたが、病院や薬局間で薬の情報が確認できるようになれば安心ですよね。


このようなことから、高齢者にはマイナンバーカードを健康保険証代わりに使っていただくと良いのではないかと考えています。

なお、健康保険証として活用する際は、先述した「マイナポータル」で手続きが必要となります。ご高齢の親にとっては手続きを難しく感じるかもしれないので、時間のある時や帰省の際にでも、手伝ってみてはいかがでしょうか。

マイナポータル「健康保険利用申込ページ」

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